中部デザイン協会 デザインの仕事場におじゃまします

第9回 プロダクトデザイナー 門脇昭朗氏

今回の訪問先は、名古屋市の北西部に位置する稲沢市を拠点に活躍する、プロダクトデザイナーの門脇昭朗さんのオフィスを訪ねました。静かな住宅街の中にある新築の自宅に事務所を移して3年目。一昨年はGマークも獲得されたという門脇さんとはどんな人なのでしょうか。

あいちゃん:門脇さんはデザイナーの仕事をなさって約30年と聞いていますが、現在までどんな経緯でこられたのですか。

門脇さん:私は6人兄弟の末っ子で育ちました。兄弟といっても姉もいます。その兄弟のうち3人が公務員なんです。私は理系が得意だったので両親は私が公務員か理系を生かした技術者になると思っていたようです。しかし、子供のころから絵を描くことや工作が好きだった私はそれらを生かす方向を考えていました。美大(金沢)へ進んだのもそのためでした。

あいちゃん:早くから方向が決まっていたのですね。学生時代からプロダクトデザイナーを目指していらっしゃったのですか。

門脇さん:デザイナーになろうと思っていたわけではありませんが、美術とデザインを比べたら美術で食べられる世界はデザインより限られていました。それに理系が得意でしたから自然にグラフィックよりもプロダクトの方向を見ていたようです。

あいちゃん:大学を卒業してすぐ事務所を開かれたのですか。

門脇さん:最初はオフィス家具メーカーの(株)ナイキという会社に入社しました。1972年です。私が卒業した頃プロダクトデザインの世界では家電・車・家具(オフィス)に人気がありました。もともと家具に興味があったのでそちらに進んだのです。当時大手企業以外でデザイナーを抱えるメーカーは少なかったですね。ナイキもデザイナーはいませんでした。私は1年間の現場実習の後に販促に配属されました。その時このままではデザインの仕事はできそうにないと思い退社することにしました。今と違い就職に困る時代ではなかった事はラッキーでしたね。私の同期生が大建工業にいまして、デザイナーを募集しているという話を聞き面接の結果入社することになりました。

あいちゃん:大建工業は住宅設備機器の大手メーカーですね。デザイナーとして入社されたのですか。

門脇さん:そうです。大建工業で入社当初の大きな仕事がシステム収納家具でした。当時は松下電工と競合状態で開発にしのぎをけずっていました。その時に私たちが現在のシステム収納のモジュールの基本を開発したのです。その他にも天井裏の階段収納(建築基準法が改定される前の大ヒット商品)・住宅の掘りごたつユニットなども私たちが最初に開発したものです。この時代は国内外の生活文化を色々と研究して様々な住宅設備機器を開発しました。

あいちゃん:そんな大建工業から独立されたのはどうしてなんですか。

門脇さん:住宅設備機器というのは比較的長く使用されるものですからオーソドックスなものが多いのです。ある程度の内容を体験すると何か違った世界を見てみたくなってきました。それに家庭の都合もあってサラリーマンを続けるか、独立して事務所を開くかの選択をせまられることになりました。それで思い切って独立しました。1986年のことです。

あいちゃん:独立後はいかがでしたか。

門脇さん:木製品を主体にした仕事が多かったのでその関係の業者との仕事を中心に始めました。そして現在も主体は変わっていません。この間にインテリアをはじめID・グラフィック・エクステリアといろんな分野の仕事をしてきました。中でも変わったところでは電柱にかける配線用の機具(写真参照)なんかもありました。

あいちゃん:いろいろな分野を手掛けられたのですね。一昨年は工具のデザインでGマークを獲得されたそうですが。

門脇さん:あれは水道工事等で使用される塩ビパイプ等をカットするものです。従来の切断方法ではバリが出て切り口がきれいではありませんでした。その他使い易さやカラーイングの斬新さ等が評価されました。

あいちゃん:おしまいになりましたが、デザインについて、又は今後の抱負などありましたらお願いします。

門脇さん:現在相変わらず洋風化が進行しています。洋風化が悪いのではないのですが、日本の文化の中で変えなくてもよいところまで無理やり洋風化しているように感じます。昔からの心地よさがなぜ心地よいのか、それが地域風土から発生しているということを特に我々より若い人たちに体験してもらいたい。
今の社会は物を作りすぎです。もうこれ以上作らなくてもよい物も多くなっているのではないでしょうか。又、すでに有る物の表面の化粧を変えるだけのデザインに疑問を感じます。私はこれからも物作りにとってこだわる部分とオリジナリティーそしてその存在価値に対してより厳しく考えていきたいと思っております。

あいちゃん:現在の産業社会へのご指摘でもありますね。本日はお忙しい中ありがとうございました。


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